暗号資産に関するイメージは、しばしば危険なものとして捉えられがちです。その一方で、暗号資産は一攫千金のチャンスも秘めており、その魅力に惹かれる人も多いでしょう。
ただし、暗号資産には価格の急激な変動やセキュリティ上の懸念など、多くのリスクが存在します。
そこでこの記事では、暗号資産への投資に伴うリスクや初心者が少しでもリスクヘッジをするためのポイントについて、専修大学のOGAWA先生に詳しくお話を伺いました。
専修大学経済学部(国際経済)教授
小川健(おがわ たけし)
理学部(旧数学科)から大学院より経済学に移る。2011(平成23)年3月博士(経済学、名古屋大学)。
現在の担当:国際経済論、資源・エネルギー論、数学補充科目、貿易論など。
専門:近経貿易理論、水産物貿易(理論)、暗号資産教育、経済学教育におけるICTの活用など。
貿易論に限らずマルチに活動。2015(平成27)年4月より現在の大学に移る。執筆段階では教授。
教育の工夫の一環として国際経済の講義に暗号資産教育や外貨建て保険等を取り入れてきた。
国際金融の視点から見る暗号資産
一般社団法人日本ファイナンス協会 編集部:OGAWA先生の専門分野は理論経済学、経済政策、経営・経済農学、ソフトウェアなど幅広い分野に及びますが、現在の研究内容や研究を始められた動機などについて、お伺いできますでしょうか。
OGAWA先生:最初に、暗号資産教育について研究するきっかけを挙げていきます。
私が現在担当している科目の中には、国際経済を教える科目があります。この科目は貿易と国際金融という2つのジャンルによって成り立っています。
国際金融という分野では、例えば外国為替レートの扱いを学ぶ必要があり、それを一定の基準で利用・応用して初めて理解できる項目です。そのため、何か事業で工夫できないか、といった観点から、暗号資産教育の要素や、さらには外貨のように暗号資産を捉えることによって、例えば暗号資産の価格が急激に変動するといった状況も考えられます。例えば、アメリカドルやユーロなどの外国通貨の価値が日本円に比べて変動する状況と同様に見る事で、同じような理解をすることができます。
実は、国際金融の様々なアプローチを学問的に学ぶことを応用すると、暗号資産の様々な側面や周辺もより理解しやすくなります。こうした理由から、暗号資産教育に興味を持つようになりました。
また、ゼミ生からこのようなテーマに関する学習希望が出たこともあり、一緒に学ぶ中で私自身も研究しています。私の本来の専門は近代経済学系の貿易論(理論)であり、暗号資産を直接の専門としているわけではありませんが、大学の教員として、研究成果を上げることが重要だと考えています。そのため、手掛けている分野でできる限りの取り組みを行っており、例えば学会発表や執筆に関する取り組みを行っています。
一般社団法人日本ファイナンス協会 編集部:ありがとうございます。例えば、現在OGAWA先生が注目されている出来事はどのようなものがありますか。
OGAWA先生:現在注目しているものの1つに、政府や中央銀行が暗号資産の技術を応用して導入する中央銀行デジタル通貨(CBDC)があります。様々な国が暗号資産の技術を活用してデジタル通貨を導入しようとしており、実際に導入を開始した国もあります。
例えば、バハマのサンドダラーやナイジェリアのeナイラ、カンボジアのバコンなど、様々な国がこの取り組みに参加しています。一方で、CBDCが導入されてもまだ十分に浸透していない国も多いのが実情であり、その理由や普及のための戦略について現在検討されています。
また、浸透しない理由だけでなく、浸透させるためのアプローチについても議論されています。例えば、日本がCBDCを導入する場合、どのような目的を持ち、どのように実現性を確保するかという点について、様々な議論が行われています。
その中で、日本ではデジタル円という名称で中央銀行デジタル通貨(CBDC)が導入される可能性があると考えられています。ただし、2026(令和8)年に導入するかどうかの判断がなされるため、現在の段階では判断が下されておらず、日本銀行などが実験を行っている最中です。
このような状況において日本におけるCBDCであるデジタル円を導入するなら、その意義を持てる導入であるべきです。デジタル円の導入によって得られるメリットや意義について、慎重に考慮する必要があります。
一般社団法人日本ファイナンス協会 編集部:例えば、OGAWA先生は現段階ではどういった意義があると考えられていますか。
OGAWA先生:日本において、中央銀行がデジタル通貨を導入することの意義について、いくつかの点を考えています。
1つは、コード決済の相互互換を確保することです。現在、LinePay・PayPay・楽天Pay・J-Coin Payなど、様々なコード決済サービスが提供されていますが、残念ながら異なるアプリ間では送金が制限されることがあります。例えば、LinePay同士なら送金可能ですが、LinePayと楽天Payの間では送金ができません。このような状況を解消し、例えばSuicaなどの交通系ICカードにおける10カードのように相互利用が可能になれば、コード決済の利便性が向上します。
- 10カード
-
Suica(JR東日本)やPASMO(関東私鉄・地下鉄), ICOCA(JR西日本)など大都市間の交通系ICカードで相互利用を可能にした10種類のカードのこと。
また、現行のコード決済では、技術的な問題や社会的な制約があります。例えば、コード決済の中には、クレジットカードでチャージができるものや、銀行の残高にお金を戻すことができるものがありますが、これらを相互互換可能にすることで不便なことも出てきます。
例えばクレジットカードでチャージできるコード決済にチャージし、そのコード決済から銀行口座に戻せるコード決済に移してから銀行口座に戻せてしまうと、クレジットカードのショッピング枠の現金化になってしまいます。クレジットカード会社はこのような取引を好まず、通常、クレジットカードの支払いは一定期間(例えば1ヶ月半)後に行われます。
この仕組みは、クレジットカードのショッピング枠における利息を回避するためであり、利息の付くキャッシング枠とは厳格に区別されています。しかし、これがキャッシング(借金に近い)と同様に機能してしまうと、利息が発生してしまいます。このような状況は不便であり、望ましくありません。
だからと言って、片方を禁止するという方法は必ずしも望ましい結果ではありません。ここで、日本におけるCBDCであるデジタル円などの新しい支払い手段が導入された場合、日銀などの中央銀行が直接発行するのではなく、銀行などを通じて間接的に発行する形式が現在の主流のCBDCの発行方法なのでそれに準ずると考えられます。このような形式では、CBDCの発行に関する責任が銀行などに移るため、銀行預金と同様の特性を持つデジタル通貨を実現することができます。
さらに、中央銀行デジタル通貨の導入により、手数料の国側への委託や、お店側の手数料負担の回避など、利点が生まれます。お店側から見ると、手数料のかかる銀行口座に戻せる(J-Coin Payのような)民間のコード決済と手数料がかからない銀行口座に戻せるデジタル円とがあった場合、手数料がかからない銀行口座に戻せる方が優位性を持ちます。
そのため、銀行口座に戻せるタイプの民間のコード決済は、淘汰されるかそうでない形に変化していく可能性があるでしょう。そうすると、先ほどお話ししたクレジットカードの現金化の部分という社会的な制約から解放され、相互に送金し合い、商品を購入し合うという状況が生まれる可能性があります。
例えば、飲み会などで日本では金額が確定すると、その金額分だけ1,000円札を集めることが一般的ですよね。現在のようにキャッシュレス決済の支払い手段がバラバラで相互互換もされていない状況だと、現金以外の手段が使えなくなることがあります。しかし、みんなが相互に交換できるコード決済を持っていれば、この問題を解決できます。
他にも例えば、オンラインで集まったサロンなどで、少しずつお金を出し合って割り勘する場合、集金方法は非常に難しくなります。しかし、コード決済が相互互換されていれば、集めることが容易になります。銀行振込などの手数料が高くつく場合でも、相互に交換できる手段があるため、支払いの問題を簡単に解決できます。
以上のように、中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタル円の導入は、コード決済の一貫性や利便性の向上、集金や支払い方法の改善など、様々な面でのメリットが期待されます。
一般社団法人日本ファイナンス協会 編集部:ありがとうございます。デジタル円が導入されることによって社会の利便性は格段に向上すると考えられているのですね。
「暗号資産」って? 危険視されがちなその背後にある真相
一般社団法人日本ファイナンス協会 編集部:先ほど、デジタル円の導入に際して、暗号資産の技術を応用するというお話がございましたが、一般的に暗号資産には危険なイメージを持つ人が多いかと存じます。実際に暗号資産は危険なものなのでしょうか。
OGAWA先生:この図は、ビットコインを日本円に換算した価格の推移を示しています。2017年頃、価格は1年で20倍に上昇しましたが、その後は5分の1以下に下落しました。その後もう一度価格が急上昇し、現在もまた大きな変動が見られます。例えば1年と少し前の価格は、現在の価格の約3分の1であったといった状況が分かります。
(2024-02-21時点) https://www.google.com/search?q=btc+jpy (2024-02-21アクセス)
※通常、ビットコインの価格の推移は米ドルとの比較で行うのが一般的ですが、ここでは説明の都合上日本円での価格表示を出しています。
このように、ビットコインなどの暗号資産には、変動が激しい特性があるのは確かです。また、こういった特性を表す専門用語として「ボラティリティ(価格変動性)」というものがあります。これは、主要な外貨(例えば米ドルやユーロなど)を日本円に換算した際の価格の動き方と比較して、非常に激しい変動を指します。このような特性から、暗号資産は投資対象として見ると比較的リスクが高い金融商品であり危険であると考える人もいるでしょう。
暗号資産には様々な種類があります。例えば、先ほど述べたビットコインは、他の暗号資産の仲介役としての役割を果たしており、小規模な暗号資産同士を直接交換することは難しいため、通常はまずビットコインに変換し、それから他の暗号資産に交換するという手段が取られます。そのため、ビットコインの価格や動向は、暗号資産市場全体に影響を与える傾向があります。
とは言え、投資に関してはある程度市場の動向を理解していれば、それぞれの戦略を持つことができます。例えば、相場が下落したときに多くの資産を獲得することで、その価格が上昇時の利益を確保することができます。しかし、市場の動向を正確に予測することは難しいため、ドルコスト平均法と言って同じ時期に同じ金額で同じ資産を買い続けるという戦略が適用されることもあります。
いずれにせよ、ビットコインや他の暗号資産に関しては、なぜその暗号資産がそれだけの価値を持つのかをしっかり説明できなければなりませんし、この意義が失われてくると、その価値は廃れていきます。自分が継続的に購入するものを考える場合、その製品やサービスがどのような社会的な意義を持っているのかを十分に調査してから選ぶことが重要だと思います。
仮想通貨への投資リスクを回避!初心者向けの秘訣とは
一般社団法人日本ファイナンス協会 編集部:これまでのお話から、暗号資産は適切な理論理解があれば危険ではないと感じますが、実際に初心者が取引を行う際に多額の借金を背負うなどのリスクを抑える方法はございますでしょうか。
OGAWA先生:リスクを抑える方法はあります。暗号資産の取引を始める際は、まず、取引所などの交換業者に登録する必要があります。日本の認定を受けた取引所では、マイナンバー関係も含めた本人確認が必須です。このチェックが甘いところは、初心者は最初の利用場所として避けるべきだと言えるでしょう。なぜなら、主要な暗号資産の基本的な特性の1つは、各取引IDの取引履歴が公開されている一方で、そのIDを持っている個人が誰なのか必ずしも明確でないことだからです。
そういったことから犯罪に悪用される可能性もあるため、日本の金融庁の指導に従い、(取引所などの)日本における認められた交換業者を初めて利用する際には必ず本人確認を行うように規定されています。また、暗号資産から得られる収入や利益は、法的には雑所得とされ、一定金額を超える場合には確定申告が必要です。そういった面も踏まえて、マイナンバーの登録は暗号資産の取引には非常に重要であり、そういった手続きが省略されているようなところで始めるのは、特に初心者にはおすすめできません。
次に抑えておくべき点は、仕組みを理解せずに買うことは避けてほしい、ということです。実は、暗号資産は交換業者に預けるだけでなく、自分で手元に保管することもできます。例えば、ビットコインなどの暗号資産は自分の手元のウォレットと呼ばれる場所に保存することができます。そのウォレットを用意し、そこに資産を移した上で、ネットワークから切り離すことができます。ネットワークから切り離すと、次にネットワークに繋ぐまでは安全に保存ができるのですが、切り離した後のウォレットのアクセスにはパスワードが必要になります。ここでパスワードを忘れると、金庫の鍵を失くしたような状態になるので要注意です。
パスワードを確実に保管した上で、暗号資産をネットワークから切り離すことで、外部からの攻撃を防ぐことができます。暗号資産の交換業者は、銀行などと異なり、法的な意味も含めると十分な保護がされているとは限りません。これらの業者は、ハッキングなどのさまざまな攻撃に晒されており、それに対抗するために普段は必死になって耐えています。
一方で、交換業者の防御が突破されると、大規模な流出が発生する可能性もあります。このような状況に対処するために、最近ではルールが少しずつ変わってきていますが、過去の場合には一度流出してしまうと、取り返しのつかない状況になることもありました。
攻撃が頻繁に行われていない場合には、資産を手元に移し、ネットワークから切り離すことが、安全を確保するための良い方法です。この手法は専門用語で「コールドウォレット」と呼ばれます。コールドウォレットにすると、資産をすぐに売ることができないため、一部の人々はそれを好まないかもしれません。
しかし、安全性を重視する上では、資産を切り離すことは非常に重要だと言えます。例えば、月に1回の取引程度であれば、常にネットワークに接続する必要はありません。そのため、コールドウォレットに資産を保管することは、合理的な選択と言えるでしょう。
巨額の資金を一度に暗号資産に投入することは、あまり賢明ではありません。暗号資産にもさまざまな種類がありますので、投資を分散させることが重要です。また、借金を背負うことを避けるためには、必要な生活費や学費など確実に使用する予定の資金は充てないことが重要です。投資に関する基本的な考え方は、このような視点からも重要です。
また、初心者の場合は、暗号資産で資金を集める方法についても慎重になる必要があります。例えば、暗号資産の資金調達方法にはIEOやICOといった方法がありますが、これらは初めのうちは避けることが賢明かもしれません。なぜならば、計画は色々組んでみたけれども、事業が失敗して価値がなくなる可能性もあるからです。慣れてくるまで、こういった機会は避けるべきでしょう。
また、重要な点として、交換業者の中でもバイナンスという名前の交換業者があります。バイナンスは世界最大級の交換業者で、(日本対応のため多少種類は絞っていますがそれでも)多種多様な暗号資産を扱っています。他の交換業者ではあまり取り扱われていないようなマイナーな暗号通貨もあります。これらのマイナーな暗号通貨にまで手を出してしまうと、初心者の場合のちのち大変なことになる可能性があります。したがって、最初に交換業者を選ぶ際にはバイナンスを避けることをお勧めします。ちなみにバイナンスは、当初日本で交換業者の正式認定の基準が厳しくなったときに一度日本から撤退へ動き、後に日本の交換業者の買収を機に日本再参入へと動いたという経緯があります。
最初は日本で元々認定されている主だった交換業者を選んでおいて、ある程度慣れてきてからバイナンスなどのより色々な種類の扱いのある交換業者に興味があれば手を出す程度に留めるのが良いでしょう。日本の主な交換業者で扱われている暗号資産の種類は、金融庁によって一定の基準が設けられています。
全てが問題ないわけではありませんが、中にはモネロやZcashのように日本での交換業者による扱いが禁止された暗号資産もあります。少なくとも、認定されていない外国の交換業者などは、初めは避ける方が賢明と言えるでしょう。
一般社団法人日本ファイナンス協会 編集部:なるほど。初心者は最初から色々手を出し過ぎないことが大切なのですね。
OGAWA先生:その他のポイントとしては、bitFlyer Lightningというプロ向けの交換業者がありますが、bitFlyerでも一般向けと違ってこれらは初心者が始める際には避けるのが賢明です。例えば、レバレッジ取引などの高度な取引方法はリスクが高く、専門的な知識と経験が必要です。初心者には向いていませんので、これらの方法については最初のうちは避けておくべきです。
勿論、取引額を何倍にも増やすことができるレバレッジ取引など、先進的な取引方法は重要です。しかし、これらは初心者向けではなく、十分な経験と知識が必要です。そのため、初心者がこれらの取引方法に手を出すのは避けるべきです。投資は自己責任でお願い致します。
また、これまで沢山の注意点を述べましたが、最後に1つ重要なポイントをお伝えします。暗号通貨の技術を利用して価値の安定を図るものにステーブルコインというものがありますが、本来は決済用であり決して投資用として扱うべきではありません。
例えば、テザーやUSDコインなど、米ドルに連動しているステーブルコインがありますが、これらは普段価格が安定しているため、値上がりを狙うことはできませんし、価値の崩壊や価格の変動などのリスクに対処することは初心者にとって難しい場合があります。
そのため、初心者がステーブルコインを投資手段として選ぶことは避けるべきだと思います。価格の安定を求める場合は、ステーブルコインを保有することはひとつの選択肢ですが、投資手段としては適していません。
一般社団法人日本ファイナンス協会 編集部:貴重なお話をありがとうございます。リスクを抑えるために、初心者が避けるポイントはこれだけ沢山あるんですね!
初心者はどうしても暗号資産という単語だけで身構えてしまいがちですが、自分の資産を使う上で失敗しないためにも、投資の基本的な仕組みを抑えることがとても重要だと分かりました。
最後に「ステーキング」という資産運用方法をよく耳にしますが、実際のところ暗号資産初心者にもおすすめできるのでしょうか。
OGAWA先生:ステーキングは、暗号資産を預けるだけで利益を得ることができる資産運用方法ですが、実際には全ての暗号通貨で利用できるわけではありません。
ステーキングは、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)と呼ばれる、より多くの暗号資産を持っている人に承認権限や報酬を与える仕組みを採用している暗号通貨に限定されます。代表的な例としてはPoSに移行したイーサ(ETH)があり、他にもカルダノADAやポルカドット、Liskなどがあります。ビットコインなどはステーキング対象暗号資産には該当しません。ただし、ステーキングにはリスクもありますので、慎重に検討する必要があります。
実際に日本にもステーキング可能なものだけでも8〜10種類の暗号資産を取り扱っている交換業者が存在しますが、こうした業者では、一般的には持っている人に承認権限を与え、承認が成功すると報酬が支払われる仕組みがあります。この報酬を受け取るためには、通常、交換業者などにその暗号通貨を保管しておく必要があります。そしてその報酬を、提供した人に一定の割合で配分することが一般的です。これがステーキングの基本的な仕組みです。
ただし、ステーキングは成功する可能性がある一方で、悪意のある取引などが入りこむ事等で失敗するリスクもあります。その場合、損失も同様に共有されるため、ステーキングは100%の成功を保証する方法ではないということを念頭に置く必要があります。
また、他の暗号資産を持っている場合、承認権限が回ってくる可能性もあります。交換業者が提供している場合、ユーザーは一定の割合や確率で承認権限を得ることができます。この仕組みにより、万が一ミスが発生した場合でも他の承認の機会で報酬はカバーされ均して配分されると一般的には想定されています。ただし、穴埋めできない場合もあるため、100%の成功を保証する方法ではないということを覚えておく必要があります。
しかし、暗号資産に基づいたステーキングでは、通常、定期的に報酬を受け取ることができます。ただし、頻繁な取引を行うと報酬を得られない場合もあるため、基本的には長期間交換業者にステーキング対象の暗号資産を置いておくことが求められます。
先ほども申し上げましたが、交換業者に資産を預けることは、未知のリスクや攻撃にさらされる部分もあることを考慮する必要があります。したがって、資産を交換業者に預けておくことが100%安全であるとは限りません。取引が失敗した場合や承認権限が与えられた人が誤った取引を承認した場合など、様々なリスクが存在します。
こういったことから、悪意のある取引や不正行為のリスクが完全にゼロではないことは理解しておく必要があります。しかし、平均的に暗号資産を持っていくことで利益が増える傾向があるため、暗号資産をベースにした資産運用方法としてはリスクが比較的低いと言えるかもしれません。
ただし、実際に暗号資産を保有する場合、その価値が急激に下落することがあります。これは外貨預金と同様であり、ステーキングなどでその対象暗号資産の保有量は増えても日本円に換算すると受け取れる金額が大幅に減少する可能性があります。
このように、暗号資産市場では価格変動の影響が避けられないため、価格変動に対する理解がない人や価格変動に不安を感じる人にとっては、暗号資産は適していない可能性があります。